スポーツ指導者と経営者の違いとは?スクールを続けるために必要な視点

from 泉山将馬


「子どもたちの成長に関わる仕事がしたい。」

スポーツを仕事にしたいと思う人の多くは、そんな想いからスタートします。

僕もそうでした。

大学卒業後、OBとして母校のサッカー部を指導したとき、

「教えることって、こんなに楽しいんだ。」

と感じたことを今でも覚えています。

その経験が、スポーツを仕事にしたいと思うきっかけになりました。

でも、スクールを始めてから気づいたことがあります。

それは、

「指導者」と「経営者」は、役割がまったく違う。

ということです。

子どもたちのために良い指導をしたい。

その気持ちは今も変わりません。

でも、スクールを5年後、10年後も続けていくためには、指導しているだけでは足りません。

今回は、僕自身の経験をもとに、「指導者」と「経営者」の違いについてお伝えします。

指導者は「目の前の子ども」と向き合う

指導者の仕事は、とてもシンプルです。

目の前の子どもたちが成長できるように全力で向き合うこと。

できなかったことができるようになる。

自信がつく。

仲間と協力できるようになる。

そんな姿を見ることが、何よりのやりがいです。

僕自身も、指導している時間は本当に好きです。

子どもたちの笑顔を見るたびに、

「この仕事を選んでよかった。」

そう思います。

だからこそ、昔の僕は、

「良い指導をしながら、このままスクールを続けていこう」

そう考えていました。

でも現実は、それだけではありませんでした。

経営者は「スクールの未来」を守る

スクールを始めてから少しずつ気づいたことがあります。

それは、

スクールを続けることも、子どもたちを守ることなんだ。

ということです。

経営者になると、

今日明日の活動だけではなく、

来年再来年もスクールを続けられているか。

スタッフを雇う状態を作れているか。

新しいチャレンジができる状態になっているか。

そんな”未来”のことも考えなければいけません。

つまり、

指導者が目の前の子どもを見る役割だとしたら、

経営者はスクール全体を守る役割です。

どちらも子どもたちのため。

でも、見ている景色は少し違います。

自分がどうしたいかではなく、「クラブとしてどうあるべきか」

僕自身、

「経営者に少しは近づいたかな?」

と感じるようになった出来事があります。

それは、値上げを考えたときでした。

昔の僕は、

「値上げしたら申し訳ない。」

「売ることは、なんだか悪いこと。」

そんな気持ちがありました。

でも、経営について学び続ける中で、考え方が変わりました。

適正な価格でお客さんに価値を届けること。

必要な利益を残すこと。

それは、自分のためではありません。

クラブを続けるため。

スタッフが安心して働ける環境をつくるため。

そして、子どもたちへ価値を届け続けるためです。

以前は、

「自分はどうしたいか。」

で判断していました。

でも今は、

「クラブとして、どうあるべきか。」

という視点で考えるようになりました。

この変化は、僕の中で大きな転機だったと思っています。

感情ではYES。でも、経営者としてはNOだった

もう一つ、忘れられない出来事があります。

ある日、

定員を超えているスクールへ、

「どうしても今すぐ入会したいです」

というお問い合わせをいただきました。

正直、とても嬉しかったです。

僕自身も、

「ぜひ入ってほしい」

そう思いました。

でも、そのまま受け入れてしまえば、

クラス全体の人数が増えすぎて、クラスの質の担保がしづらい状況になってしまう可能性がありました。

その時はかなり悩みました。

でも最終的には、お断り(キャンセル待ちをしてもらう)する判断をしました。

感情だけで考えれば、

「入ってほしい。」

でも、

経営者として考えれば、

「クラスの質を守ることが、今通っている子どもたちへの責任だ」

そう判断しました。

あのとき初めて、

指導者と経営者は、役割が違う。

ということを実感しました。

時には、感情を押し殺さなければならない

経営者になって、一番難しいと感じることがあります。

それは、

感情を押し殺さなければいけない場面があること。

です。

もちろん、

子どもたちのことは大好きです。

保護者の期待にも応えたい。

スタッフにも働きやすい環境をつくりたい。

その気持ちは今も変わりません。

でも、

感情だけで判断すると、

長くスクールを続けられなくなる可能性があります。

目の前の一人を優先するのか。

スクール全体を守るのか。

今日だけを見るのか。

5年後、10年後を見るのか。

経営者は、そうした判断を求められる仕事です。

だからこそ、

数字や事実を見て判断しなければならない場面があります。

これは冷たい判断ではありません。

子どもたちへ価値を届け続けるための判断だと、今は考えています。

指導者と経営者、どちらもスクールには必要

ここまで読むと、

「経営者にならないといけないのか」

そう感じる方もいるかもしれません。

でも、そうではありません。

指導者には、指導者の役割があります。

経営者には、経営者の役割があります。

どちらが偉いという話ではありません。

ただ、

スクールを自分で運営するのであれば、

両方の視点が必要になります。

目の前の子どもたちを大切にすること。

そして、

5年後、10年後も子どもたちが通える環境を守ること。

その両方があって初めて、

スクールは長く続いていくのだと思います。

だから僕は、

「良い指導者」を目指すだけではなく、「良い経営者」になることも学び続けています。

それが結果として、より多くの子どもたちへ価値を届けることにつながると信じているからです。


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この記事を書いた人

サッカー全国大会出場経験を持つ元アスリート。

総合型地域スポーツクラブ「インボルブ花巻」代表。

元団体職員から独立し、地方都市でゼロからスポーツクラブを立ち上げる。
子ども向けの運動教室やサッカースクールを中心に、地域に根ざしたスポーツ活動を展開。

最初の会員は2人からスタート。

試行錯誤を重ねながら教室を成長させ、現在では約100名以上が在籍し、年間延べ1,000人以上にスポーツの楽しさを届けている。

現場での経験をもとに、
「スポーツで食べていく仕組みづくり」をテーマに情報発信を行い、元アスリートのセカンドキャリアやスポーツ起業についてのサポートを行っている。